アワビの歴史的な食文化

アワビを食べてきた偉人達

日本では平将門や織田信長、徳川家康、武田信玄などの武将や、邪馬台国の卑弥呼にはじまる天下人の食卓に必ずアワビがのっていたと言われています。

特に武将は出陣の際に、三献の儀（さんこんのぎ）を行い、「打ちアワビ、勝ち栗、昆布」の三品を食べながら、酒を三回飲みました。
これは「敵に打ち、勝ち、よろこぶ」という語呂合わせの意味があり、大事な敵と戦う前に行う重要な儀式の中で、アワビが食べられたのです。

日本と身近な中国では、秦の始皇帝がアワビの殻を不老長寿の妙薬としていたことや、楊貴妃が美容のために好んでアワビを食べていた等の伝説があります。

また、その不老不死の仙薬（アワビの殻）を渇望した秦の始皇帝の命令を受け、徐福は紀元前２１９年に東の海へ船出しましたが、徐福の船団はそのまま行方不明になり、待ちわびる始皇帝も船出から８年後、人生５０年で仙薬を得ることなく亡くなりました。

その徐福伝説にまつわる史跡が、日本には青森県から鹿児島県まで約２０ヶ所（佐賀県、宮崎県、鹿児島県、三重県、和歌山県、山梨県、東京都　など）あり、中国のアワビに対する情熱の高さが伺えます。

不老不死の薬とされたアワビが獲れる日本に対して、長寿国との思いを古代中国の人が抱いていたのは確かで、今でも中国には長寿を願う「鮑」という姓が残っています。
日本国内でも、 蚫谷（あわびや）、鮑子（あびこ）、鮑（ほう）と呼ばれる名字の方がおられます。

アワビの貝殻

古くから食べられてきたアワビ

縄文時代の貝塚からアワビが発見されており、身は食べられ殻は食器としてすでに使われていました。
また古くからお祝いの食べ物とされており、アワビは神様に捧げる祝い事の進物には欠かせない、とても重要な海産物です。
平安時代には貢ぎ物として各地から都にアワビが届けられました。

現在お祝いごとに使われる熨斗袋（のしぶくろ）の「熨斗」は、もともとはあわびを薄く裂いて乾燥させた物で、アワビは古くから慶事のシンボルなのです。

1400年頃の浜尻屋貝塚　※出典：青森県東通村教育委員会

殻長6cm前後の大きさの揃った大量のアワビ貝殻などが出土し、当時で既に干アワビを生産した痕跡が見られる。

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